この町 おさんぽコラム 9号”ツグミ”

ツグミは日本で冬を過ごすためにシベリアからやって来ます。この町でも原っぱや公園などでよく見かけられます。えさである地面の上の小さな虫を探す姿は、まるで忍者のようだと私はつねづね思います。頭を低くしてヒタタタタと小走りし、ふと立ち止まっては背を伸ばして周囲をうかがい、またヒタタタタと小走りするからです。

わが家の庭では鳥たちのおやつにパンを少々まいているのですが、ヒヨドリがしゃしゃり出てきて豪快についばむ背後で、ツグミは茂みでしばし息をひそめ、隅のほうのパンを速やかにくわえたかと思うと、たちまち茂みへ戻っていきます。そして私もヒヨドリも気づかぬ間に、庭からドロンと立ち去っているのです。

春になるとシベリアに帰ってしまいますが、世界で人気のジャパニーズカルチャーですから、忍者の立ち振る舞いをしてみせるツグミは地元の鳥たちから一目置かれているのではないかと、私は期待をこめて推測しています。

文・画 村山尚子

投稿@広報部

2017年1月町内会だより この町おさんぽコラム