この町おさんぽコラム32号”ゆず”

  私の家の庭には、ゆずの木があり、二メートルほどの高 さなのですが、毎年百も二百も実をつけます。とげのある枝に手こずりながらも全て収穫し、ご近所に配ったり、薬味にしたりお風呂に浮かべたりして活用しています。

また、ジャムも作ります。年末、台所をゆずの清々しい香りでいっぱいにしながら、黙々と切ったり煮たりなどをしていると、一年の穢れも浄化されるような気がします。黄金色に仕上がったゆずジャムは輝いて美しく、パンにのせて食べると、ほのかな苦みが後をひきます。びん詰めにすれば保存がきき、年を越しても楽しむことができます。

この町では庭や玄関先にゆずを植えているお宅をよく目にしますが、収穫されずに、実が地面に転がっていることも少なくありません。「もったいないなぁ……。ジャムにしたいなぁ……」と私は思ってしまいます。だからといって、勝手に収穫して持ち帰ったら盗っ人になってしまうので、自制しています。

の町おさんぽコラム 32号 ゆず

 

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部