この町おさんぽコラム15号 “ハス”

大賀博士によって縄文遺跡から発掘されたハスの実が花を咲かせたことは、世界中で大きなニュースとなりました。昭和二十七年のことです。このハスは株分けされ、現在は「大賀ハス」と名づけられて様々なところで見られます。

薬師池公園にもあり、花の見頃は七月下旬から八月初旬。私も眠い目をこすりながら見に行ったことがあります。というのも花が開くのは早朝で、昼前には閉じてしまうからです。最盛期の日曜には「観蓮(かんれん)会」が催され、訪れた方々にお酒やお茶がふるまわれます。

グラデーションのかかった艶やかなピンク色で、朝露も朝陽も受けとめる大きな器のような、優しい丸みをおびたハスの花。この美しさにはきっと、縄文人も心を動かされたに違いありません。子どもたちは目を見張り、奥様たちはキレイと言い合い、恋人たちは肩を寄せてうっとりとしたのではないでしょうか。

二千年の時を超え、大賀ハスは私たちのご先祖を近くに感じさせてくれます。

 

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部