この町おさんぽコラム20号”たぬき”

 ある冬の日の早朝、窓を開けると向こうの道路に猫の後ろ姿がふたつありました。いや、猫にしてはお尻が丸くて、しっぽも太い。タヌキでした。親子か夫婦かはわかりません。猫なら「にゃーん」と声をかけますが、はて、タヌキなら……と少し悩み、さしあたり「ぽんぽーん」と呼んでみました。すると二匹はこちらを振り返り、きょとんとした顔をし、そのまま私たちは三十秒ほど見つめ合いました。そして彼らはまた前を向き、あわてるふうでもなく去って行きました。タヌキは夜行性ですから、家路の途中だったのかもしれません。

 クマやカエルのようには冬眠しないタヌキですが、寒さをしのいで岩かげや縁の下などにこもりがちにはなります。それでも暖かい日には、このように出歩くこともあるようです。
 タヌキが目撃されることの多いこの町。ぜひ声をかけ、心の交流をしてみて下さい。もし「ぽんぽーん」よりもタヌキの 琴線に触れる良いかけ声があったら教えて下さい。

2017年12月町内会だより この町おさんぽコラム たぬき

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部