この町おさんぽコラム24号”ねぎ坊主”

 

 私が高校生のころ、自宅から駅までの道のりには畑がたくさんありました。晩春になると、収穫されずに残っているねぎの、伸びきった葉のてっぺんに、白くてまんまるのものがのっかっているのをよく目にしました。そのまんまるがふさふさとしていてかわいらしいのと、細長い葉との組み合わせがアンバランスで不思議なのとで、私は思わず通学の足を止めて見入ったものです。それがねぎの花であること、また、「ねぎ坊主」というゆかいな名前がついていることは後々知りました。

 ねぎ坊主たちが春風にぽんぽんと揺れていたあたりは今は住宅となっていますが、ほんの二十年前にはそんなのどかな風景がこの町にはありました。

 最近は花屋さんに行くと、ねぎ坊主が切り花として売られているのを見かけます。“アリウム(Allium)”だなんて、おしゃれな名前をつけられたりしています。

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部