この町おさんぽコラム27号”アカボシゴマダラ”

アゲハが飛んでいると思ったらアカボシゴマダラだった、ということがここ数年よくあります。九〇年代に中国から持ちこまれたものが放たれたようで、それ以降、関東を中心にその数がどんどんと増え、要注意外来生物にも指定 されている蝶です。

幼虫はエノキの葉を食べますが、同じくそれを食べる在来種の蝶の幼虫と取り合いが起こり、その結果、在来種のほうの数が減ってきてしまっているのは残念なことです。

とはいえ、アカボシゴマダラは人懐こくてかわいらしくもあります。近づいても、アゲハのようにパッとすぐ逃げ ることもなく、カメラの接写にも快く応じてくれます。機嫌のよい時は手に乗り移ってくれることもあります。アカボシゴマダラに罪はないのに……と切なくなります。

新しいものが入ってきて、多様なものが共生し合うのは楽しいことですが、もともとあったものの存在がおびやかされたり、そこにあった良さが失われてしまうのはもったいないこと。単純に数の問題かなとも思いますが、悩ましいです。

この町おさんぽコラム 27号 アカボシイラスト

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部