この町おさんぽコラム34号”椿”

 

つやつやとした濃い緑色の葉の間に、赤やピンクの花をいくつも咲かせる椿。枯れ木や枯れ葉など茶色が目立つ冬の視界に、椿はあざやかな色を差してくれます。

花の中央には、おしべが筒のように並んでおり、その底には蜜がたっぷりとたまっています。これはメジロなどの野鳥のごちそうになります。  

なかでもヒヨドリの食べっぷりは豪快。その筒にずぼっと顔ごと突っ込み、無我夢中で蜜を吸います。吸い終わって、ずぼっと出てきた顔は真っ黄色。くちばしはもちろん、頬や額のほうまで花粉まみれになっています。くしゃみひとつしないのが不思議ですが、花粉を振り払うでもなく、そのままで過ごしているので気にしていないようです。自分の顔がそんなことになっているのに、気づいていないのかもしれません。 

ついでに、椿から「いつも受粉を手伝ってくれて助かるよ」と感謝されていることにも、ヒヨドリは気づいていないでしょう。

この町おさんぽコラム 34号 椿

 

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部