この町おさんぽコラム44号 “冬芽”

 
 木々の冬芽を観察しながら散歩をするのも、この町の冬の楽しみのひとつです。小さな冬芽の中には花や葉のもとがつまっています。それらを寒さから守るため、冬芽はおのおので工夫をしています。羽織のような薄い鱗を何枚も重ね着しているものもあれば、硬い葉を鎧のようにまとっているもの、ふわふわの毛のコートを着こんでいるものもあります。また、風に当たる面積を少なくするために小さくなってちぢこまっているもの、乾燥を防ぐためにぬるぬるとした保湿剤を塗っているものもあります。
 
 木々は冬の厳しい環境で無理に生長するのではなく、冬芽をつけたまま、じっとしていることに決めました。そして春になり気候がよくなったら、ためこんでいたパワーを一気に使って、葉を茂らせ花を咲かせるのです。
 
 しっかりと時機をとらえ、あわてることなく備えながら待つという姿勢は私たちも学ぶべきところがありそうです。

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部