この町おさんぽコラム47号 “ぺんぺん草”

 

ぺんぺん草は春の七草のひとつ、なずなの別名です。春になると細長い茎のてっぺんに白くて小さな花が集まって咲き、とてもかわいらしいです。茎の途中にはいくつもの柄が出ていて、先には実がなっています。その実のかたちが、三味線をぺんぺんと鳴らす撥(ばち)に似ているので、そのような別名がつきました。しかし私にはその実がハートに見えます。春風に吹かれてゆらゆらと揺れるたくさんのハートを見ていると優しい気持ちになります。

冬の間、ぺんぺん草の葉っぱは土の上で放射状にぺたんこになって過ごします。なるべく多く太陽を浴び、栄養をどんどんと根にためるためです。そして暖かくなってくると、その栄養を使って、新しい茎は放射状の中央から伸びてきます。次世代を思うハートにあふれたこの営みに、私は感動をおぼえます。

道ばたや広場などこの町のあちらこちらにもぺんぺん草は見られます。ぜひ探してみて下さい。

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部