たま坂ことの葉「能の魅力」(1) ー広報部ー

能は600年以上の歴史を持つ歌舞劇です。能楽堂は東京都内で11箇所あります。能楽堂は、クラシックコンサートに行った時に感じるホールに入った瞬間の静寂感、そして音合わせを終えて指揮者登場を待つ一瞬の間合いの高揚感を感じられます。

能楽堂ホールに入って見る総ヒノキ造りの能舞台の何もない空間から、開演直前の幕(揚幕―あげまく)の内から聴こえてくる囃子の“お調べ”の音。終えて幕の脇から囃子方(はやしかた)が、舞台右手奥の切戸口(きりどぐち)から合唱隊である地謡(じうたい)がそれぞれ静かに登場してきます。全員着座後に、使う場合には大道具(作り物―つくりもの、抽象的な簡単な物)が設置され、その後舞台に演者を引き入れる序奏に入るための笛(能管―のうかん)の高音吹奏(ひしぎ)により、いよいよ能が始まります。

能の囃子のリズムや男声合唱である謡(うたい)は心地よいことからどうしても眠くなります。特に謡はα波を発生させると言われており眠くなるのは自然なことだそうです。能の文章(詞章―ししょう)は日本語とは言っても古文であり、さらに古今和歌集などからの和歌の引用が非常に多くかつ「掛詞-かけことば」を多用します。それを聴き慣れない節付きの歌(謡―うたい)で聴くのですから解りにくいかもしれません。

初めての方は“感じて”ください。能を理解しようとはせずに自分の気になるところ、興味の出たところを感じることから始めてください。能は取り組みの難しい芸能ですが、どこかに興味のある部分を見いだすと意外にスーッと呼び込んでくれる芸能です。ただ、事前に“あらすじ”と“典拠(能の元になった物語など)”を調べておおよその流れだけは頭に入れておくと、悲しみや怒り、争い、鎮まりなどの舞台での表現を感じられるようになり、興味も増すと思います。

-広報部-