防災アンケート分析 No.1
先の「防災アンケートの報告」で掲載できなかった分析結果などを、「防災アンケート分析」というシリーズでお伝えすることになりました。今回は、災害(特に震災)に対する住環境の安全性についてお伝えいたします。
大都市の直下地震である阪神淡路大震災からは、次の事柄を学ぶ事が出来ます。
- 死亡原因の筆頭が圧迫死(71%)、その内訳は、窒息死(54%)、即死である圧死(12%)。窒息死は緩やかな死で、早い救助で助かっていた可能性があります(兵庫県監察医の調査)
- 死亡・負傷のおもな原因は、家具などの転倒・移動・落下、家屋の倒壊
- 死者の内、60歳以上の割合が59%(神戸市)
- 倒壊家屋や倒れた家具の下から助かった人の内訳、自力で助かった人が約4割、家族・通行人・隣人に助けられた人が約5割、救助隊に助けられた人が2%弱
首都直下地震は、今後30年以内に70%の確率で発生すると予測されています。急傾斜地や谷底平野(こくていへいや)が点在する当地域では、昭和56年5月31日以前の建築基準(旧建築基準)で建てられた家屋は倒壊の恐れがあります。また、それ以降に建てられた家屋でも、家具類の転倒・落下・移動防止対策(家具転防止)を行っていなければ高い確率で死傷者がでる可能性があります。
住環境の安全性という観点から、「家屋の耐震化」と「家具転防止」について見ていくことにします。グラフ「住環境の安全性に対する不安」をご覧ください。
ここで、「耐震化未実施」とは、旧建築基準で建てられ、耐震化工事無しの家屋です。「家具転防止未実施」とは、家具転防止が不十分な世帯です。また、次の2つの階層に分けて比較します。階層A:「避難行動・配給受け取りに問題のある世帯」とは、防災アンケートの設問6と設問7から抽出した世帯で、自力で歩行が困難な方や咄嗟の行動が難しい方がいる世帯と推察しています。「避難行動・配給受け取りに問題なしの世帯」を階層Bとします。階層Aは全体の23.4%、階層Bは71.6%、残りは無回答などとなっています。今回は、階層AとBの数が異なるので、階層ごとの比率で比較します。
(1)家屋の耐震化
このグラフによれば、「耐震化未実施」の比率は階層A>階層Bで、その差は倍近くになっています。これから言えることは、自力で歩行が困難な方や咄嗟の行動が難しい方がいる世帯(階層A)では、住環境の安全に対するリスクが階層Bよりもかなり大きいということです。階層Bも決してリスクが低いわけではありません。両階層共に、家屋の耐震化を進める必要があります。特に階層Aは、積極的に進める必要があります。相談窓口は、「町田市」「耐震化」で検索。
(2)家具転防止
家具転防止では、両階層共に3割を超える世帯で住環境の安全性に問題があるという結果になりました。ここでも若干ですが、階層A>階層Bとなっています。安全性に対するリスクという観点から両階層共に問題ありです。特に、階層Aは、深刻な状況になっています。地震の揺れに咄嗟の行動がとれない、家屋の倒壊や家具等の下敷きとなった時に体力や脚力がないため自力で脱出できない、などの恐れがあります。家具転防止は家族の命を守る大切な対策です。参考資料は、「東京消防庁」「家具転防止」で検索。
2021年6月30日に投稿@広報部