要石NO.5 首都直下地震への備え(食料備蓄)
今回は、災害時の食料や食料備蓄についてお話しします。
食料品は、フードロスを抑えるため適切な在庫管理が行われていて、市場に存在する量は限られています。したがって、流通の一部でも不具合があると、スーパーやコンビニからあっという間にものが無くなります。その不具合の最たるものが災害です。
首都直下地震などの大きな地震が発生すると、電気・ガス・上下水道だけでなく道路や交通機関、流通なども被害を受けます。流通は道路や交通機関が被害を受けるとストップしてしまいます。また、流通の主役を担うトラック輸送では、輸送を担うトラックやトラック運転手自身も被災します。人口が集中する首都圏においては、道路の復旧とともに流通の早期復旧が課題となっています。
流通の世界では、いつ発生するか予測がつかない震災については、事前の対策が取れません。
【国や東京都・町田市の対応】
被災した人々のために、国や自治体は食料の備蓄を行っています。町田市は、東京都が作成した首都直下地震の被害予想をもとに下図に示す避難者のために3日間分の食料を避難施設などに備蓄しています。その備蓄食料は、乳児用の粉ミルクを除けば、米飯とビスケットのみです。
国は、被災者のために4日目以降の食料を都内のいくつかの大型防災倉庫に分散して備蓄しています(東京都の場合)。多摩地域には、立川に多摩地域広域防災倉庫があります。国は、首都直下地震のような大きな地震が発災した場合、町田市の要請がなくても4日目から7日目までにプッシュ型支援と称して、これらの都内の防災倉庫から町田市の総合体育館に、食料などの物資を輸送するという計画を立てています。更に、町田市は、総合体育館から市内の71か所の避難施設まで物資を配送する計画を進めています。ここでいくつか大きな問題があります。
【食料不足】
もっとも人口の多い地域②の例で、問題点を説明します。2020年度に行った防災アンケートでは、食料備蓄について設問を設け、回答をいただいています。その中で、3日間の食料備蓄に満たないと回答した世帯が約37%ありました。内訳は、備蓄なしが約25%、1日分が2%強、2日分が9%強。この地域では、在宅避難者の食料として約2万食分の食料が足りていず、町田市の「避難者数2」の備蓄食料をあてにすることになりますが、その量は約8,800食しかありません。この地域では、約1万食以上も不足していることになります。この食料不足は、他の地域でも同様です。
【物資輸送上の問題】
問題点は、いくつかあります。
- 東京都の広域防災倉庫からの配送は民間の輸送業者があたりますが、トラックや運転の人手不足などで解決していません。
- プッシュ型支援については、4日目からの配送の実現性が疑われています。
- 食料などの物資の配付は避難施設(例えば、町田第五小学校)で実施されますが、高齢世帯など重い荷物を運べないなどの理由で受け取りができない世帯が多数存在します(発災直後から一般車両の通行は禁止されています)。この問題については、玉川学園町内会と自主防災隊で策定中の「防災計画」で対応を検討しています。その実現には、地域住民の協力が不可欠です。
【地域住民側の対応策】
私たちの取るべき対応策は、とにかく食料を備蓄することです。食料備蓄の目安は、最低でも1週間分です。歩き回って食料を調達することが難しい高齢世帯などは、最低でも2週間分、できれば1ヶ月分を備蓄することをお勧めします。次の節で、現実的な備蓄方法を案内します。
【無理のない備蓄方法】
避難生活で必要なエネルギーを得るためには、炭水化物の摂取が必要です。備蓄方法としては「東京防災」でも紹介している日常備蓄(ローリングストック)が無駄にならず最適な方法です。主食となる普段使いの米や乾麺、パスタ(スパゲティ)、小麦粉、ホットケーキミックス、イモ類(サツマイモ、ジャガイモ)などを備蓄します。
例えば、米の場合、下記の表にある分量を余分に備蓄しておき、現在お使いの米が無くなりそうになったら一袋補充します。古い袋から順に使っていきます。
一か月分の米は、平均的な大人1食分の米:75gで計算しています。育ち盛りの子どもがいる世帯や若い世帯の場合は「その他の世帯を」を参考にしてください。表は市販の5Kgまたは10Kg入りのお米を購入することを前提に作成しています。
【煮炊きするための備品】
煮炊きしたり、お湯を沸かしたりするためにカセットコンロとカセットボンベは必需品です。カセットボンベの備蓄については、下記のサイトをご覧ください。
https://www.iwatani.co.jp/jpn/consumer/products/cg/useful/stockpile/
【参考情報】
町内会だよりでは、コラム「防災レシピ」で非常時のレシピを掲載しています。簡単にご飯を作る方法などは先月号に掲載しています。参考にしてください。
その他、cookpad(https://cookpad.com/)で「防災 ごはん」「防災 パスタ」「防災 うどん」『防災ホットケーキミックス」と検索すると多くのレシピが得られます。主食に不足する栄養源として、普段使いの保存がきく野菜や果物、各種の乾物、缶詰、お菓子(栄養価の高い、ポップコーン、チョコレート、玉子ボーロ、ゴマせんべい、ナッツ類などがおすすめ)を備蓄します。