たま坂ことの葉 -Flight 雑感-
私が今までに飛行機で世界中とんだ距離が約300万マイルになります。地球一周2.48万マイルですから、約地球120周回ったことになります。
人類史上最初に世界一周したマゼランは、世界一周に三年かかっています。ジューヌベルヌの80日間世界一周にちなんで、現行飛行ルートで最短どのくらいで世界一周できるかというコンテストの優勝者は、なんと43時間でした。
高度1万メートルから見る地上は、地上の喧騒を打ち消し、美さそのものです。飛行機の窓から見る地上の景色は、発想を豊かにし、十分に楽しませてくれます。でも時々ふと思います。もしこの景色の地上に一人で放り出されたらどうなるか?おそらくこの飛行機が10分飛ぶ距離でも、自分の足で歩いたらとてつもない時間と労力を費やさねばならないだろうと!東京からサンフランシスコの飛行時間は、約8時間半です。その逆のサンフランシスコから東京は、ほぼ10時間を超えます。理由は西から東に向かって強い風が吹いているからです。いわゆる偏西風です。高度が高いところをふく偏西風を特にジェット気流といいます。経験した最も早いジェット気流は、新幹線の速さにも匹敵する毎時300kmにもなりました。これに乗って飛べばまるで吹き飛ばされているようですが、これに逆らって飛ぶときにはまるで地上にとまっているようです。
ジェット気流に乗って飛ぶときは、距離が遠くてもジェット気流のながれに沿ってとびます。これに逆らって飛ぶときには、なるべく距離が短い大圏コースを飛びます。サンフランシスコを飛び立つと初めての人は驚くと思いますがアメリカ大陸の沿岸にそって北上しアラスカのアンカレッジ、フェアバンクスの南に添いアリューシャン列島沿って南下し、北海道をかすめ成田に滑り込みます。初めてのときは これが大圏コースとは信じがたいですが、地球儀を使ってサンフランシスコと東京の最短距離をなぞるとこのコースになることに驚くでしょう。現在は、従来ヨーロッパに行く最短コースのロシア上空を飛べなくなりました。世界の紛争が空にも及んでいることを考えた時、なんともやるせない気持ちになります。高度1万メートルから見た地上が人々の行動を阻害しています。