この町おさんぽコラム18号”カマキリ”

 

カマキリは春に生まれ、夏に成虫になります。初秋、成熟した大きな体で庇(ひさし)や枝の上などの高みに立ち、鎌をもたげて悠然と世をのぞむ姿には威厳がただよいます。私は思わず「ハハーッ」とひれ伏したい気持ちになります。
 

「カマキリ」は漢字で「蟷螂」と書き、「枯蟷螂(かれとうろう)」は初冬の季語。カマキリの羽がすっかりかさつき、よれて、まるで枯草のような風情となったさまを表します。詫び寂びの感じられる美しい日本語です。
 

冬の寒さには本来は耐えきれないはずのカマキリですが、温暖化の影響か、近年では年が明けても見かけられることが多くなりました。
 

しかし枯蟷螂となってもなお、震える足で草地や道路の低いところに立ち、悠然と世を見渡している姿には往年のころと変わらぬ威厳が満ち、そして私はやはり「ハハーッ」とひれ伏したい気持ちになるのです。

 2017年10月町内会だより この町おさんぽコラム カマキリ

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部