「善意の傘」たま坂ことの葉寄稿文         

 『私の乗降駅に,善意の傘がある。・・・私も急な雨のとき、借用したことがある。ある雨の日、私は驚くべき発見をした。雨が降っているのに、むしろ善意の傘が増えている。傘を持たずに家を出た人たちのために、雨が降り始めてから家を出た人たちが、傘をよけいに持って駅に残していったのだろう。』、これは、玉川学園在住の作家 森村誠一さんの著書『写真俳句のすすめ』からの一節です。
 小田急線玉川学園駅の北口と南口階段上に、住民の供出による善意の置き傘が設けられるようになったのは、今から40年前にさかのぼります。「急な雨の時、駅に傘があったら・・・」とひとりの住民の呼びかけから輪が広がり、今日に至りました。
 『常時これだけ多くの置き傘が用意されている駅は、日本全国何処にもない』と、鉄道マニアの鉄ッちゃん、鉄女が認めるところです。
 家に余っている傘、不要になった傘を 「みんなのために」と差し出してくれる住民たち。そして毎週、 傘は足りなくなっていないか、壊れた傘は無いか、置き傘の状況を点検してくれる町内会のお当番(環境委員)たち。感謝の思いをいだきつつ利用し、翌日置き傘の棚に戻す住民たち。・・・この住民同士の連携プレイに「何と民度の高い町だろう」と、嬉しくなるのは私だけではない筈です。ただ喜んでいるだけでなく、 自分も何かさせて頂かなくては・・・そんな思いにしてくれる、わが町の 「善意の傘」、ありがとう。

-広報部-