この町おさんぽコラム28号”朝顔”

近くの小学校では一学期の終わりに、一年生たちが朝顔を持ち帰ります。支柱を立てたプラスチックの鉢を両手で抱えて慎重に歩く姿に、35年前の自分を重ねてしまいます。持ち帰った朝顔が、紫色の花を咲かせてうれしかったこと、その花の中を虫眼鏡でまじまじとのぞいたことなども思い出されます。

 なぜ朝顔が小学校で教材として選ばれ続けるのかというと、丈夫で育てやすいからです。暑さに強く、土質もあまり選びません。また、茎がつるなので、くるくると支柱に巻きつくのも面白い。花は柔らかいため押し花にしたり、色水を作って遊ぶこともできます。朝にだけ咲くその特性は、夏休みの早起きの習慣づくりにも役立つかもしれません。

 学芸会が行事からなくなったり、英語の授業が行われるようになったりなど、その小学校でも、私が通っていたころとはいろいろなことが変わっていますが、変わっていないものもあると、なんだかほっとします。

この町おさんぽコラム 28号 朝顔イラスト

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部