この町おさんぽコラム41号 ” 秋の鳴く虫”

 

 リーリーリーリーリー……。夜中二時、タイマーのような大きな音で目が覚めました。しかし枕元の目覚まし時計の音ではありません。起き上がり、音のもとを探ってみると、それは玄関のげた箱の下から聞こえます。そしてそこには金時豆のようなかわいらしいコオロギが。小さい体でよくこんな大きな声が出るものだと驚きました。

カネタタキ、カンタン、スズムシ、マツムシ、クツワムシなど、草木豊かなこの町では、秋になるとさまざまな虫の声が聞かれます。鳴いているのはオスのみ。メスたちにモテたくて、かっこよく鳴いてみせているのです。

人家の中に迷いこんでしまうこともしばしば。いくらここで鳴いていてもすてきな出会いなどあるわけもないので、私はつかまえて外に戻します。しかし素手でつかまえようとすると、彼らは意外とすばしこく、ぴょんと跳ねたりもします。ビニール袋などに優しく追いこむ方法がよいようです。

この町おさんぽコラム 41号 秋の鳴く虫

– 文・画 村山尚子 –

投稿:@広報部